各種制度に対応した水産物の販売証明書や漁獲・陸揚げ情報の提供について、産地市場荷受・漁協、漁業者、買受人などの関係者から寄せられる疑問を整理しました。
各制度の詳細な手続きやルールについては、関係行政機関の公式資料をご確認ください。
A.陸揚げ時に計量した個体ごとの重量です。
水産流通適正化法(第7条第1項)では、取引先に伝達する情報の1つとして「採捕後、譲渡し、引渡し又は加工をする時までの間に計量した重量」を規定しています。水産庁のQ&A等の資料では、この重量を「産地重量」と呼び、「陸揚げ時に計量した個体ごとの重量」と定義しています。漁業者が陸揚げした後、産地市場荷受・漁協が計量する場合には、その計量値が産地重量となります。
なお、漁業者は、漁業法に基づく漁獲量報告を行う必要があります。その際に漁業者は、産地市場荷受・漁協から提供された仕切書に記録された産地重量を利用することが考えられます。この産地重量がえらはら抜き(GG)やドレスなどの形態での重量であった場合には、ラウンド重量に換算したうえで報告する必要があります。
参考:水産庁:太平洋クロマグロ大型魚に関するQ&A(PDF)(�W・2の問11など)
A.魚体の形態は、流適法に基づく基本的な情報伝達事項には含まれていません。
しかし、計量値が何を意味するかを確認するうえで重要です。
このため、産地市場では、計量時の魚体形態を記録するとともに、必要に応じて漁業者や買受人等へ伝達できるようにしておくことをおすすめします。
参考:水産庁:太平洋クロマグロ大型魚に関するQ&A(PDF)(�T・4の問14)
A.現在の水産流通適正化法やその施行規則には、取引先からの問い合わせに対して荷口番号のもとになった漁獲番号等を回答することを明示的に義務付ける規定は見当たりません。
一方、特定第一種第一号では、荷口番号を新たに付けた事業者には、その荷口番号と、もとになった漁獲番号等との対応関係を記録・保存する義務があります。また、受け取った荷口番号をそのまま次の取引先へ伝達することも認められています。
荷口番号により事務負担の軽減を維持しながら、必要なときに元の漁獲番号まで遡れるようにすることは、制度の実効性を高めるうえで重要な課題と考えられます。
参考:水産庁:アワビ・ナマコに関するQ&A(PDF)(�U・2の問3〜問5)
A.まず、どの制度に対応するための依頼なのかを確認しましょう。
輸出先の国・地域や対象水産物によって、必要な情報や証明書の種類は異なるからです。
市場が記載する証明書は日本語でよくても、輸出先に提出する書類には漁船名・漁業許可番号などのアルファベット表記が必要なこともあります。
証明の対象とする水産物のロット(取引日・魚種・漁獲漁船など)とともに、販売証明書の目的(どの制度に対応するためか)を依頼者に確認し、適切な販売証明書の様式を選択しましょう。
A.船長本人の署名が必要かどうかは制度によって異なります。
また、署名が必要な場合でも、代替書類や代理署名の取扱いが制度ごとに定められています。
主な制度の書類について整理すると、次のとおりです。
日本の漁船が漁獲した水産物について、日本の水産庁が発給する漁獲証明書には、船長(master of fishing vessel or of fishing licence holder)が署名する欄があります。本人による署名が必要です。
適法採捕証明書では、原則として漁船の船長が署名します。ただし、水産庁のQ&Aでは、船長が署名できない特別な事情がある場合には、適法採捕証明書の漁船情報、製品情報、資源管理に係る記載の真正性を確認し、責任を持つことができる者が、船長の代理として署名することも認められています。
参考:水産庁:水産流通適正化法に関するQ&A(輸入関係)(PDF)(問44「船長の署名」)
漁船の船長による保証陳述(Captain's Statement)が求められます。船長が漁獲方法やイルカへの影響について確認し、署名する書類です。航海の責任者である「船長」とは別に、漁獲活動を指揮する「船頭」がいる場合は、船頭が「Captain」に該当します。
このように、船長の署名が必要か、誰が署名できるか、どのような例外があるかは制度によって異なります。具体的な手続は、それぞれの制度の最新資料で確認しましょう。
A.日本の法令に基づいて情報伝達や記録保存などが義務付けられている場合には、各事業者が自らの義務を履行する必要があります。一方、取引先からの依頼に応じて行う追加的な情報提供や販売証明書の作成については、必要とは言えません。
例えば、水産流通適正化法では、対象となる事業者に情報伝達や取引記録の作成・保存などを義務づけています。食品表示基準においては、消費者に販売する商品だけでなく、産地市場で行われるような業者間取引においても原産地表示(産地情報伝達)が義務づけられています。
一方、輸出のための証明書の提供は、輸出業者の義務であって、産地市場荷受・漁協などの義務ではありません。通常のビジネスにおける取引先からの依頼への対応と同じように、メリット(輸出を可能にすることによる水産物の販路拡大・価格向上、取引先との協力関係の維持、同業他社とのサービスの差別化等)と、発行の負担とを比較し、判断してよいと考えられます。証明書の発行のコストに見合った手数料を請求することも考えられます。
A.これらは、漁獲・陸揚げの状況を確認するために使われる情報を、おおまかに分類した呼び方です。
漁船情報:漁船名、漁船登録番号、主たる根拠地(母港)、IMO番号、コールサイン、漁業許可・免許に関する情報など。
漁獲情報:魚種、漁獲日・期間、漁獲水域、漁具・漁法、漁獲数量など。
陸揚げ情報:陸揚げ日、陸揚げ場所、陸揚げ時の重量など。
A.はい。既存の伝票に必要な情報が記載されていれば、有効に活用できます。
まずは、普段使用している伝票(販売計算書、荷渡票など。伝票等のファイル提供サービスも含む)で、必要な情報を取引先に伝えられるか確認しましょう。
ただし、直接の取引先に伝票で情報を伝えることと、さらに下流の事業者がその情報を利用できることとは別です。例えば、市場が買受人に提供する計算書に漁獲水域や漁船名を記載すれば買受人への情報伝達はできますが、金額も記載されているので、買受人が漁獲水域や漁船名を顧客に提供する手段としては不都合かもしれません。このため、買受人は、顧客に漁獲水域・漁船名等を伝達する手段(あるいは、伝達する情報の開示可能な根拠)として、販売証明書を必要としている可能性があります。
また、制度によっては必要な情報項目が多く、既存の伝票だけでは不足する場合にも、追加書類や電子データの提供などを検討しましょう。
A.まず、その水産物がどのような経路で入荷したのかを確認しましょう。
例えば、次のような場合があります。
荷主や船宿・廻船問屋などに確認し、実際に漁獲した漁船や漁業者の情報を把握することが考えられます。販売証明書を求められてから漁業者や漁船を把握するよりも、あらかじめその荷主に預けた漁業者や漁船を把握し、記録しておくことが望まれます。
先に取引を行った産地市場荷受・漁協に漁獲・陸揚げ情報や販売証明書の提供を求めるのが適切と考えられます。
本ページは産地関係者向けの一般的な情報提供です。各制度の実際の手続きや最新の取扱いについては、所管行政機関の公式資料をご確認ください。
水産物トレーサビリティ協議会 Japanese Association of Seafood Traceability
〒114-0024 東京都北区西ヶ原3-1-12 西ヶ原創美ハイツ2階 (一般社団法人食品需給研究センター内)
TEL:03-5567-1991(代表) FAX:03-5567-1960