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日本:水産流通適正化法(特定第二種)

水産流通適正化法の特定第二種は、違法に採捕された水産物の日本への輸入を防ぐため、対象水産物の輸入時に適法採捕証明書等を求める制度です。

1.制度の概要

適法採捕証明書(Catch Certificate:CC)は、対象水産物が適法に採捕されたことについて、原則として漁船の旗国の政府機関等が確認・発給する書類です。海外で加工された製品の輸入には、原料の適法採捕証明書に加えて、加工国の所管機関が確認した加工申告書(Processing Statement:PS)等が必要になる場合があります。日本の輸入業者は、対象魚種やその調製品を輸入する際に、CC(と場合によりPS)を提出することが必要です。

本ページでは、日本の漁業者・産地市場・買受人などにも関係する、日本で漁獲された原料魚を海外で加工し、加工品を日本へ再輸入する場合を中心に紹介します。

2.対象となる水産物

対象はサバ、サンマ、マイワシ、イカおよびそれらを原料とする一定の加工品です。対象製品の範囲は加工形態や輸入統計品目番号等によって決まるため、詳しくは水産庁の最新情報をご確認ください。

3.日本産の原料魚を海外で加工し、再輸入する場合

日本の漁船が漁獲した対象水産物を、産地市場で販売し、冷凍・輸出した後、外国で加工して日本に輸入する場合の典型的な流れは次のとおりです。

適法採捕証明書(CC)は、原則として、対象となる原料魚を漁獲した漁船の船長が漁船情報・漁獲情報を確認し、署名する仕組みです。しかし、水産物の流通過程では、複数の漁船による漁獲物が集められ、選別・凍結などを経てロットが統合されることが少なくありません。

そこで日本の制度では、複数の漁船の漁獲物が混在し、漁業許可証等や売買関係書類の写しを提出することが客観的に不可能な場合など、所定の条件を満たすときには、産地市場荷受・漁協が漁獲・陸揚げ情報を取りまとめて証明する「販売証明書」を添付する方法が認められています。この方法により、各漁船の船長の署名や、漁業許可・漁船登録関係書類の写しの提出を省略できる場合があります。単に書類を集める手間がかかるという理由だけでは、この取扱いの対象になりません。

水産物の取引の流れと、情報・証明書の流れ
取引の流れ(上から下へ)
日本漁船・漁業者漁獲・陸揚げ
日本産地市場荷受・漁協荷受・販売
日本買受人・冷凍業者選別・凍結・保管・コンテナ積載
日本輸出業者原料魚を加工国へ輸出
海外加工業者加工品を製造
日本加工品の輸入業者加工品を日本へ輸入
情報・証明書の依頼・提供の流れ
1
販売証明書の提供を依頼

CCの申請者(通常は輸出業者)が、買受人を通じて、漁獲・陸揚げ情報を含む販売証明書の提供を依頼します。

2
産地市場荷受・漁協が販売証明書を提供

産地市場荷受・漁協が、買受人に対して販売証明書を提供します。買受人は必要に応じて輸出業者へ渡します。

3
輸出業者がCCを申請し、水産庁が発給

輸出業者が販売証明書などをもとに水産庁へCC(Catch Certificate)の認証を申請し、水産庁がCCを発給します。

4
加工国でPSを確認・発行

加工国では、原料魚に対応するCCを確認したうえで、所管当局がPS(Processing Statement)を確認・発行します。

5
輸入時にCCとPSを使用

加工品の輸入業者が、CCとPSを使って日本へ輸入します。

ポイント:CCは、日本への再輸入時だけでなく、海外の加工段階でPSの確認・発行を受けるためにも必要です。そのため、産地市場段階の情報は、加工国での手続に間に合うように整理・伝達しておくことが大切です。

図:日本産原料魚を海外で加工し、加工品を日本へ再輸入する場合の一例。実際には取引形態や関係事業者の構成により、情報・証明書の受け渡し方は異なることがあります。

重要なのは、適法採捕証明書が日本への再輸入時だけでなく、加工国で加工申告書の発行を受ける段階ですでに必要になることです。したがって、産地で把握した情報や書類は、海外の加工段階に間に合うよう伝達することが求められます。

4.適法採捕証明書に必要な漁獲・陸揚げ段階の情報

日本の水産庁への発給申請には、対象となる原料魚について、主として次のような情報が使用されます。

  • 漁船・漁業に関する情報(漁船名、登録番号、漁業許可・免許、漁具・漁法など)
  • 漁獲に関する情報(魚種、漁獲水域、漁獲日・期間など)
  • 原料魚の重量など、漁獲物の数量に関する情報

実際に必要な項目・証拠書類は証明書の種類や漁業形態等で異なります。記載事項の詳細は、水産庁の様式・取扱要領をご確認ください。

5.産地関係者に求められる対応

原料の輸出業者は、特定第二種に該当する水産物を輸出したのち日本に再輸入されることが想定される場合、買受人(冷凍業者)、産地市場荷受・漁協、漁業者など、実際の取引経路の関係者に、必要な情報・書類の提供を依頼することになります。産地市場荷受・漁協にとっては、日ごろから所定の情報を保存し、依頼があったら証明書発行等の対応ができることが期待されます

水産庁は、産地市場荷受・漁協が発行する販売証明書の標準例を公表しています。ただし、その様式のとおりに証明書を作らなければならない、という意味ではありません。産地市場荷受・漁協にとっては、必要な項目が含まれる販売証明書の様式を定め、買受人等から求められたときに対応可能にすることが重要です。

また、証明書には漁船の船長等の署名欄があり、特別な事情がある場合の代理署名の扱いも定められています。くわしくは水産庁の最新の取扱要領・Q&Aをご覧ください。

6.流通過程でのトレーサビリティ

複数の漁船の漁獲物をまとめて凍結・出荷する場合などには、輸出された原料と、漁獲・販売段階の記録との対応関係を確認できることが重要です。産地市場や買受人で通常作成している取引記録を適切に残し、必要な情報を次の取引先に伝えられるようにしておくことが役立ちます。

7.関連情報

本ページは産地の関係者向けに制度の概略を説明するものであり、実際の手続については水産庁の最新の資料をご確認ください。

  水産物トレーサビリティ協議会    Japanese Association of Seafood Traceability

    〒114-0024 東京都北区西ヶ原3-1-12 西ヶ原創美ハイツ2階 (一般社団法人食品需給研究センター内)

    TEL:03-5567-1991(代表)  FAX:03-5567-1960